米パンと酵母について
パンと言えば,酵母が命になります.これはお米のパンでも同じことです.
お米のパンは,小麦のパンと違い,グルテンがないため,膨らませるのに非常に苦労します.
グルテンのようなものがないとパンにはならないため,グルテンの代わりとなるものが必要になるのです.
なので,市販の米粉パンは増粘剤,HPMC,サイリウム,増粘多糖類などが加えられている場合があるのです.
これらの添加物を入れないでも,作る方法として生まれたのが,米(または米粉)を水と混ぜ合わせ,ドロドロの状態にして,
粘性を持たせる事で,グルテンの代わりにする方法です.
ただし,この方法でも米の粒子が荒かったり,α化していたりすると,うまくいかないことが多く,難しいのが現状です.
特に,天然酵母の発酵能力は,市販のイーストに比べると,劣るため,難易度が増します.
自家製天然酵母の開発
四苦八苦しながらたどり着いた自家製天然酵母.
写真は開発中に実験を繰り返したときの酵母です.
元々は,小麦のパン用のレシピを参考に試行錯誤を重ねながら,今の形に仕上げました.
酵母の調子が悪くなり,何か月も全くパンが焼けなくなることも何度もありました...
我々の酵母の特徴は,発芽玄米から作っているため,米パンと相性がいいと言う点です.
また,酵母の発酵に糖が必要なのですが,これも麹から自家製した甘酒を使っています.
ドライイーストと違い,じっくりと発酵させるため,酵母のうま味が感じられるものになっています.
しかしながら,ドライイーストと比べ,管理は非常に難しいです.
生き物なので,気温,水分量等で大きく変動します.
なので,季節の変わり目等は,常に面倒を見てあげる必要があります.
元気のいい酵母は,発酵が早く,パンのきめが細かく,甘みが感じらるものに仕上がります.
逆に,元気がないと,発酵が遅く,キメが荒くなり,糖を消費してしまうため甘みを感じられなくなり,酵母の発酵臭が強くなります.
発酵させてみないと,わからない時もあるので,難しいです.
酵母の種類について
酵母に色々と種類があり,その酵母によって味などの特性が変わります.
市販されているものでは,乾燥されているドライイーストや生イーストなどがあり,
それぞれ味や発酵力などが異なります.天然のものほど,発酵力は低い傾向があるため,
使うときは上級者向けになるかと思います.
天然酵母の中でも,自家培養して作っていくものは,ありとあらゆるものから作る事ができます.
一般的なものですと,レーズンやイチゴ,リンゴなどのフルーツや,植物の葉などから作るものがあります.
酵母は元々は,それら食品の周りについていた菌であるため,使う材料によって色々な特性が変わって,面白いものです.
発芽玄米酵母のつくりかた
最後に,我々のパンに使っている酵母の作り方を紹介します.
発芽玄米を作る
発芽玄米を作るように、胚芽のついた玄米を水に浸し、毎日水を変えながら、数ミリ程度目が出るまで、待ちます。水の温度が低くかったり、米が死んでたりすると、芽が出ずに腐ってしまいます。水の匂いを嗅いで、臭い匂いがしたら、失敗です。こまめに水を変えましょう。
玄米ペーストをつくる
目が数ミリ伸びたら、玄米の2倍量位の水と一緒に、ミキサーで粉砕します。細かければいいですが、ある程度ザラザラ感が残っていても大丈夫です。ミキサーの熱で、菌が死んでしまわないようにしましょう。
次に,粉砕した玄米ペーストと、同量のハチミツ、または砂糖と水を混ぜたもの(砂糖8、水2程度)を混ぜて、しっかり煮沸消毒した瓶に入れます。酸素が必要なので、蓋は完全には閉めないようにしましょう。
酵母菌を元気にする
後は、常温20℃以上の場所に置き、1日に数回かき混ぜてあげながら、数日置きます。
ぷくぷくと泡が出てきて、更に数日置き、
シュワシュワと元気の良く、酵母のいい香りがすれば、完成です。
30℃以上の場所に長時間置くと、雑菌の方が活性化する場合があるので、注意が必要です。